私も今度は障害者雇用で働きたい
大手電気通信会社で長く働いていたIさん。
新人教育や顧客への提案資料作成など幅広く仕事をこなし、全国各地を飛び回って勤務されていました。
しかし、長時間労働や激務が重なりアルコール依存症を発症。
20年以上勤められた会社を退職し、ご自身の今後の過ごし方について考える時間が増えてきました。
体調も落ち着き、自身の病気との向き合い方が分かり始めた頃、Iさんの中に「再び働きたい!」という気持ちが芽生え始めました。
しかし、これまでと同じような働き方には不安がありました。
そんな時に同じ病気の仲間が「障害者雇用」で働いていることを知りました。
通院先のカウンセラーに相談し、ヒューマングロー高田馬場の就労移行支援を紹介され、利用を開始しました。
スタッフと主治医の連携で適切な支援方針へ
社会経験が豊富なIさんは、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルは問題なし。
体調も安定しており、週末にはヨガや旅行に行くなどアクティブな方です。
今すぐにでも働けるかも?と本人・支援者双方が感じ、通所開始当初から就職活動を始めてきました。
しかしIさんを長らく診察してこられた主治医・カウンセラーの意見は全く異なるものでした。
「Iさんは能力がある分、自分ができる以上に頑張りすぎてしまいます。それに気づかず、気づいたころには遅かった…なんてことも。自分が出せる半分程度の力で取り組むよう意識しましょう。」とアドバイスがありました。
頑張りすぎない就職活動
主治医のアドバイス後、Iさんと担当スタッフの間では「6割程度の力で頑張りすぎない」を合言葉に就職活動を進めていきました。
何かあれば「頑張りすぎていないですか?」と適宜Iさんに声をかけていきました。
企業に安心感を与えられる伝え方の習得
また、それとは並行してご自身の障害を自分の言葉で伝えられるように、発症に至るまでの経緯から発症後の生活、予後について整理を重ね、企業に安心感を与えられる伝え方をスタッフと一緒に考えていきました。
世の中の認知度はありながらも病気に対する理解度が他の障害に比べて低いアルコール依存症。
Iさんが参加されている自助会に担当スタッフも見学に行き、支援者目線でIさんの症状の安定度を企業へ伝えられるよう準備をしてきました。
事務職に障害者雇用で就職
約3年のブランクと初めての障害者雇用で不安もありましたが、職場実習に積極的に参加し、通所開始から半年後に世界主要都市でリゾートの開発・運営を行う企業の事務職として採用されました。
ご自身の趣味と通ずる部分もあり、入社が決まった際は大変喜ばれていた姿が印象的でした。
入社してからもうすぐ1年を経過しますが、合言葉は変わらず「頑張りすぎない」です。
Iさんがこれからも自分らしく活き活きと働けるよう定着支援でサポートしてまいります。
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