上司・同僚の異動で障害理解を得られなくなり退職
自閉症スペクトラムと軽度知的障害のあるIさん。
障害を開示して働くオープン就労で、介護事業所の清掃の仕事に3年間従事していました。
はじめは人間関係もよく、安定して働くことができていました。
しかし上司・同僚の異動により人間関係に変化があり、障害の理解を得られないことや怒鳴られることなどもあり、体調を崩し退職することに。
前職を辞めてから1年間自宅で静養する中で、生活リズムが乱れていきました。
「このままじゃだめだ。体調も良くなってきたし仕事を探したい」との思いから就労移行支援の利用を考えるようになりました。
そして役所からもらった福祉サービスの一覧からヒューマングローを利用することに決めました。
クローズ就労からオープン就労での就職活動へ
Iさんはヒューマングローのすべてのプログラムに参加後、就職活動を始めました。
はじめは障害を明かさないクローズ就労を目指して10社ほど応募するものの選考通過することができませんでした。
支援員との面談で「障害を開示せずに働きたいのはなぜか?」とご自身の気持ちに向き合われ、前職がオープン就労だったが障害者に対する接し方が厳しかったり、給与面など待遇が悪かったことがあり、クローズ就労を目指したいというお気持ちであることを再確認しました。
また支援員からは職場環境や給与条件について、希望のすり合わせを行い、条件にあうオープン就労の求人を提案させていただいてよいかを確認し、Iさんご本人から「ぜひそうしてほしい」と返答をいただきました。
オープン就労の求人で初めて応募したのは、整体院での裏方の仕事でした。
見学と面接を行い、マルチタスクが多く難しい見立てであること、身だしなみについての指摘を採用担当者からいただきました。
身だしなみ(主に髪型)に関しては通所時よりこだわりが強く、支援員からの助言があってもなかなか変化に至りませんでした。
しかし第三者である採用担当者からの言葉に、「働くためには自分のこだわりだけでなく、周りの環境やルールにあわせた変化が必要」と気が付かれました。
その後、髪型を就活に合わせた長さやスタイルに変えられました。
入社にあたり配慮事項の調整
後日、支援員よりアパレル小売店のバックヤード業務の求人を提案しました。
Iさんから「ぜひ受けたい」と希望があり、選考実習を受けることに。
そしてその実習先に「仕事に対する真面目さや素直さ」を評価いただき、採用が決まりました。
入社にあたり、配慮事項の再確認と、人間関係の変化に不安があることをお伝えしました。
店長からは「異動があってもIさんが働きやすいように必ず引継ぎを行うことや、配慮事項を皆さんに共有する」とお言葉をいただけました。
また支援員からも、
・困りごとがあるときにはすぐに上司に相談をすること
・自分からお話がしづらい場合には支援員に相談すれば代わりにお伝えできること
などをお伝えし、安心して就職できるようにサポートしました。
2023年3月末現在で約9か月間就労しています。
勤怠も安定しており、定着面談では「忙しく大変ではあるが元気に仕事ができていること、趣味の動画作成の時間もとれており充実した生活を送られている」と笑顔で話されています。
より仕事のスキルを高めていきたいという前向きなお気持ちもあり、長く安定して働くことができるように、今後もサポートしてまいります。
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